-障害者GH世話人- Aya's Everyday

障害者GH世話人なりたての元専業主婦Blog

もう一度、あの人に会いたい

2022.10 日枝神社(赤坂)

インターネット上で出会う人の多くは、はじめはどこの誰だかしらないし、それこそ性別すらわからない状態からはじまる。長期にわたって会話をしていたとしても、最後の最後まで名前すらわからない人も普通にいた。

私はかつてネットゲームのプレイヤーの一人であった。私自身、キャラクターに仮名をつけて、年齢も隠し、ネットゲームの世界に潜むように生きていた。沢山のプレイヤー(人々)と知り合い、会話をしたが、やっぱり最後まで名前も顔も知らないで関係が終わることもしょっちゅうあった。インターネットはパソコンの電源を消してしまえばもうおしまいである。現実のように利害関係があったり、避けれないコミュニケーションに属していれば無理して付き合う必要はあるが、インターネットの世界では名前を変えたり、パソコンの電源を落としたりすればすぐに関係は解消される。自分がネットゲームを引っ越せばそこまでの関係で、自然消滅する仲は沢山あった。なるべく自然消滅は避けたいから、お別れの時は感謝の言葉を告げて去るようにはしていたが、相手がそうしてくれるとも限らず、別れは突然にやってくることもあった。

もう5年前の話であるが、ネットゲーム上で仲良くしてくれた男性がいた。ボイスチャットを通じて毎日のように話した日もあった。明日も仕事があるという大人が3時や4時まで寝ないで通話したり、子供のように笑いあったり、時にはネットゲームで協力プレイをして作戦を真剣に練っていたり、難易度の高いゲームを夜明けまで一緒に攻略していたりと、本当に楽しかった。5年くらいの付き合いになったが、相手は大学生から社会人に、私はニートから専業主婦になった。お互いの生活はがらりと変わり、その男性は段々と仕事の愚痴しか言わなくなり、ネットゲームからは遠ざかっていった。多分、ゲームプレイする気力もなかったんだと思う。お互いを結び付けていたゲームをプレイしなくなり、ゲームなんかなくても会話が楽しかったのに、私はその人から離れた。仕事の愚痴を聞くに堪えれず、元々ジメジメした性格の人だったのだが、それが気になり始め、私から身を引くことになった。

それ以来、ネットゲームで知り合った人とあそこまで楽しい思いができることはなく、私の中では「彼で最後だったのだな」と悟った。年齢もあがるほどに何を触ろうとも新鮮味がなくなる。そして、プレイするネットゲームもすべて先が見えるようなものばかりで、ゲーム自体にも楽しみを感じられなくなってしまった。

私は忘れやすい人間である。ネットゲームもプレイしなくなって、彼のことも忘れてしまっていた。なのに突然、あの彼が夢にでてきたのだ。なぜか通話という形で現れた彼。それもうそうだ。だって私は彼の顔も見たことがないわけだし。私はあの時のことを謝罪した。本当は現実で言いたかったんだよ、この言葉を。あの時はわかってあげれなくてごめんねと。彼は許してくれた。というか、私の夢なんだから私の都合が良いように結末を描いているだけなのだ。通話途中に有耶無耶になって目が覚める。そこでまた彼のことを思い出し、わかってあげれなかったと悔やむ。本当に彼は大切なネットの友人で、大好きな人とわかっていたはずなのに、自分から関係を断ってしまったことは軽率すぎた。しかし、あのお別れから5年もたっているから、彼は私を忘れているだろう。夢を見るまでは私も彼を忘れていたように。

もう一度会いたいと思っていても、インターネットの世界ではかなり難しい。はじめにも言ったようにどこの誰だかわからないことが多いのだから。もう一度会えないなら、もう一度出会いたい。無理な話なんだろうけど・・・もう一度会いたい。