-障害者GH世話人- Aya's Everyday

障害者GH世話人なりたての元専業主婦Blog

障碍者GH:三日目(1) 教える側の時間が足りない

2019.01 高幡不動

障碍者グループホーム三日目、日勤。この日はサービス管理責任者と言われる、いわゆる当施設で一番上の男性職員さんと一緒に仕事をした。私は日勤二日目なのだが1週間は日があいてしまった。前回の遅番勤務でようやく女性利用者の名前だけは覚えたので、申し送り時に発せられる利用者の名前と顔が一致するようになる。

サービス管理責任者っていうのはおそらく通常の職員よりも事務仕事が大量にあるのだろう。なんだか忙しそうで話しかけづらいのだが、わからないことをそのまま進めて間違うわけにはいかない。

この日は全体会議があって職員が勢ぞろいした(正確には一名欠席)。もちろん、勤務時間としてタイムカードに打刻できるが、職員やパートの皆様がどっから来ているのか知らないけど、この全体会議のために集合させられる。話し合われたことといえば利用者の誰かは最近どんな感じだとかを指名された誰かが個別に語りだす会合だ。私はまだこの世界に入って三日目なので、なんだかナンセンスだなと思ってしまった。

この会議に1時間くらい割かれたので私の日勤業務の掃除が後回しになった。そのうちに遅番業務の人が業務につきはじめる。掃除なんてしなくても、適当でも一日くらいなら別に何ともないだろうと思い、焦ることはないぞと軽い気持ちで私は掃除をしはじめる。そのうちに薬確認等のタスクが押し寄せてくる。素人でも薬を間違えたら大変な事になるなと思いながら薬をわける。個人でセット方法が違っていて覚える事が大変。

掃除も終わらないまま休憩へ突入。休憩が終わると利用者が帰ってくる15時頃になった。ここからがやる事ラッシュ。風呂介助にしても声掛けしたらいいのかよくわからないけど、遅番の人は夕食を作ったり風呂介助したりしていて大変な状態。女性の風呂介助は男性の職員に聞いてもよくわからず。

そのうちに風呂介助を一度もしたことがない最年長利用者の人の担当をさせられる。この人は精神的に不安定で気難しい。更には風呂が嫌いなタイプで入るのが嫌で、最初から遅番勤務の人の名前を指名して風呂に入りたがっているという難易度高めな状態でやることになった。

健常者でも誰かに何かを任せるときは信頼関係が必要になる場面がある。だから、彼女が別の職員を必要としているのならば、可能であれば私が後ろから見ながら入浴介助を確認したいと思った。しかし、そんな時間はないらしい。利用者さんがグズっていたら遅番勤務の人がきた。

 

私が入浴介助中に利用者さんから言われたこと「おそいわね(怒)」(作業が)「さむいわ」

私が利用者さんに話しかけたこと「ごめんなさい~・・・」「すいません~」「シャワーかけます」「熱かったら教えてくださいね」「頭洗いますね」「顔ふきますね」「お体洗いますね」「体ふきますね」・・・。

遅番勤務の人が私に伝えた事「〇〇さん(利用者の名前)はお風呂がきらいです」「シャンプーで二回頭を洗います」「シャワーのお湯、自分で触って熱いか確認して?」「洗えてない!子供の頭を洗うような感じで!」「シャンプー終わったらタオルで顔をふいてあげてください」「タオルは水のかからないところに置いて」「ボディソープをつけて洗います」「ボディソープ、量が全然足りない(笑)」「〇〇さんはお体に不自由はないからまずは洗えないところ以外は椅子に座ったまま洗います」「では立ってもらっておしりや陰部を洗いましょう」「人によっては陰部を洗う時は手袋をします」「洗いながらしたらタオルでふいてあげてください」「〇〇さんのシャンプーはおけの右、ボディソープは左においてあげてください、これはこだわりなんです」

ここでお風呂から出て脱衣所に。

「まずおむつはかせてあげて」「この足が入る部分をもっと伸ばしてあげないと!」「おむつをはいてもらったらパンツ2枚はきます」「青が先」「グレーは後」「次はブラジャー、後ろが丸まっちゃうからなおしてあげて」「上の下着、着させてあげて」

ここで私が遅番さんと利用者さんに言った一言。

「色々教えていただきありがとうございました!これからもよろしくおねがいします」

・・・。

違う人の入浴介助をした時にはもっと簡単だった。なぜかというと服を着替えさせるところまでしなかったから。しかも私は入浴自体、みんな同じようにさせたらいいのだと思っていた。もちろん丁寧にはするけど、そのうち覚えるだろうと。でも、今回、この利用者さんの入浴介助を行った際に入浴すら個人の特性を考えてやらないといけないんだなと思った。シャンプーは右とか「どっちでもいいでしょ」って思っちゃうし、「パンツ」もどっちが先でもいいでしょってなってしまうし。

それ以上に介助されてるんだから「ありがとう」くらい言ってほしかったってのが本音。そりゃ私だって全然できないけど一生懸命にやってたの、見たらわかるでしょう?って思っちゃいけないのが福祉の世界なんだな。

遅番の人は厳しい言い方だけど愛はあった。利用者さんが小言を言ったのは私がモタモタしていたからっていうのもあったけど、精神病を持っているから言い方に配慮がないのは仕方ないよね。でも、これだと介護職はきついよね。

その日、家に帰る途中、亡くなった父との会話を思い出す。

求人Webサイトを見た私は父に「ねえ、この障碍者施設の世話人っていう仕事、いつも募集してるよね?」と話す。父「きついからすぐ人がやめる」私「私にもできるかな?」

父「絶対やめたほうがいい。”意思疎通のとれないものは・・・(植松聖死刑囚の一部発言)”となったら困る。」

これは2021年頃の会話だが、天にいる父は障碍者施設で頑張っている私を見て「だからやめろって言っただろう?」って笑っているかな。

親子だって何十年たってもお互いがわからないことがあるんだから、他人のことなんて簡単にわかるわけがない。障碍者の人達の事だって個人の事はほとんど何もわからない。それでも個別対応でやらないといけない。そして、それを聞く時間もほとんどない事に深いため息が出た。