-障害者GH世話人- Aya's Everyday

障害者GH世話人なりたての元専業主婦Blog

ストリートピアノ弾きたい心・聴きたい心

2020.03 梅

商業ビルに入って買い物をしていたら1Fに設置されていたストリートピアノから音色が聞こえてきた。私たち夫婦は6Fのフロアにいて、中央の吹き抜けの階下からかすかに「前奏曲」だとわかった。私が自慢げに「これなら弾けるよ、楽譜見ながらだけど(笑)」と夫に言う。そのうち「前奏曲」が終わり、別の曲が流れてきた。

「幻想即興曲」「蠍火」「ラ・カンパネラ」等、誰もが知っているような弾くのがとても難しい曲である。幻想即興曲などはストリートピアノで聞いたことはあるが、どれも「弾いている」というもので、鍵盤を押しているだけで抑揚のない演奏ばかりだったが、今日の奏者はまるでピアニストのように美しい音色を奏でているのだった。1曲1曲終わるごとに拍手喝采。私達は6Fから2Fにうつって買い物を続ける。その音色は更に耳に近くなる。こんな演奏を無料で聞かせてもらえるなどと感激してしまう。2Fから1Fを見やるとピアノ奏者の周囲には沢山の観衆が。そりゃあんなに素晴らしい演奏が生で聞けるなら、近場で耳を澄まして聞きたいだろう。

でも次の瞬間、ハッとする。その観衆の中にもしかしたら「弾きたい」人がいたのかもしれないと。こんな素晴らしい曲を何曲も演奏された後でピアノを弾くには勇気がいるのではないかなと。ストリートピアノは「みんなの」ものである。きいているだけの者は良い演奏を聞き続けたいけど、弾きたい者もいるだろう。弾きたいなら弾けばいいじゃない?と思ったところで、ピアノがそれほど弾けない私ですら素晴らしい奏者の後に乗り気がしない心理は想像できる。だから、私は拍手喝采される素晴らしい奏者であっても1曲くらいでやめておいたほうがいいのかなとは思った。上手な人の演奏も良いのだが、発展途上のピアニストの拙いけど一生懸命な演奏も聞きたいものだから。